JASRAC BGM無断利用 初提訴

JASRACがBGM無断利用のお店を初めて提訴しました

JASRAC(日本音楽著作権協会)は7月11日、JASRAC管理下の楽曲を、著作物利用許諾契約を締結しないままBGMとして違法に利用しているとして、店舗経営者に対して、楽曲使用差し止めや損害賠償を求める訴訟を提訴しました。

対象の店舗は、北海道札幌市中央区の理容店と香川県高松市の飲食店です。BGM使用を巡る提訴はこれが全国初だそうです。

JASRACの主張

主な主張

  • 両店舗は、BGMとしてCDプレーヤーなどで音楽を再生し、店内の雰囲気づくりに使っている。
  • 職員が店舗訪問等を行い、許諾手続きが必要だと説明したが、「ほかでもやっている」などと拒否された。
  • 民事調停も成立しなかった為、提訴に踏み切った。
  • 全国で楽曲をBGMに利用しているのは、約130万店に上り、うち4割近くが無許可である。
  • 2015年以降は、各地の経営者に無断使用停止を求める民事調停を申し立てている。
  • これまで536件のうち、24件は不成立となっている。

著作権使用料の未払い額

  • 札幌市理容店:2014年5月頃からの計約3万円
  • 高松市飲食店:2007年9月頃からの計約7万円

JASRACの大橋健三常務理事のコメント

「著作権管理の公平性から提訴はやむを得なかった。できる限り事前の説明を尽くして解決したい」

店舗経営者側の発言

今回の報道では、店舗経営者側の声は殆どわからないのですが、札幌市理容店の男性経営者は以下のコメントを出しています。

著作権の切れた曲のみ使っていた。提訴にはただびっくりしている」

今回のJASRACの提訴を考える

JASRACと言うと、管理人は、ピアノ教室等での演奏に対し、著作権の使用料徴収を決めたこと、がまず一番にパッと浮かびます。

個人的には、JASRACのこの主張は無理筋ではないかと感じています。ただ、この件は裁判の結果が出ないとシロクロつきませんので、ここではこれ以上掘り下げません。

そして今回の件ですが、これはちょっと毛色が違います。飲食店などでBGMを使っている場合の判断になります。

結論から言うと、裁判になるわけですから、裁判結果を待たねばなりません。とりあえずは、JASRAC側と店舗側の双方の言い分を聞きたいところです。

ただ基本的に、音楽を使用する場合は、それに相当する対価を支払わなくてはならないと言うのはやはり有ります。「音楽くらい流してもいいだろう。ヨソでもやってるだろう」というのは通用しないわけです。

お店で商売するにあたって、音楽を店内で流すとなると、対価が当然発生すると考えるべきです。音楽を作るには、それ相応の著作権者の労力が費やされているわけですから、それをタダで使うのは、昨今許されないです。

しかし、今回、理容店経営者の声として、「著作権が切れた曲のみ使っていた」、というコメントもあり気になります。

どういう楽曲を使っていたのか、というのが判らないので何とも言えないところですが、JASRACが訴訟を起こすからには、それ相応の勝算がありそうだ、とも考えられます。

一方で、店舗経営者側も、丸っきりウソで「著作権切れ曲のみ使っていた」なんて言うかどうかも微妙なところです。よくわからないところです。この件の続報が待たれます。